日本語トマトチューブ Nihongo tomato tube

日本語トマトチューブは、日本語教育に関わる人のサポート
日本語を勉強する人の支援を目的としたサイトです。
YoutubeのNihongoTomatoTubeと連動しています。

Youtube
PR

(再確認) シラバス

再確認 シラバス コラムcolumn
広告リンク

1.「シラバス」という言葉の一般的な意味

1-1. 語の由来と一般定義

日本語教育に限定せず、一般的な意味から確認しておきましょう。

シラバス(syllabus)とは、教育一般において
「ある教育課程・授業で、何を・どの順序で・どのように扱うかを示した計画の一覧」を指す言葉です。
機能シラバスとか文型シラバスという用語に用いられる「シラバス」とは区別してください)

一般的には、以下の要素を含むことが多い。

  • 教育・授業の目的
  • 扱う内容(トピック・項目)
  • 内容の配列・順序
  • 学習の到達目標
  • 評価方法(試験・課題など)

この段階では、「具体的な教授活動」や「教材の詳細」まで含むかどうかは文脈次第であり、広く「教育内容の設計図」という意味で用いられています。


2.日本語教育で使われる「シラバス」の意味

2-1. 日本語教育における専門的用法

日本語教育分野では、「シラバス」は単なる授業計画ではなく、
「言語項目をどの原理で選び、どう配列するか」という理論的枠組み
という意味で使われます。日本語教員養成課程や養成講座で説明される「シラバス」の意味は、こちらの意味が取り上げられる傾向があります。

代表的なシラバスには次のようなものがある。

  • 文型シラバス
  • 機能シラバス
  • 概念・機能シラバス
  • 場面シラバス
  • 課題(タスク)シラバス

2-2. 特徴(日本語教員養成課程で紹介される「シラバス」)

日本語教育でいうシラバスは、次の点が特徴的である。

  • 「何を教えるか」の選択原理を重視する
  • 文法・語彙・機能・場面など、言語項目の整理軸の提示
  • 教材設計・コース設計の理論的基盤として機能

つまり、日本語教育における「シラバス」は
教育内容そのものの構造化の理論であり、
必ずしも「1科目の授業計画表」を指すとは限らない。


3.文部科学省が使う「シラバス」の意味

3-1. 行政文書における用法

文部科学省が用いる「シラバス」は、
教育制度・教育課程の管理・説明のための用語であり、
日本語教育学でいう理論的シラバスとは性格が異なります

基本的には、

  • 教育課程の全体像を説明する文書
  • 各授業科目の目的・内容・評価方法を示す資料

という意味合いで用いられます。

3-2. 特徴(文部科学省が使う「シラバス」の意味)

文部科学省の用法には、次の特徴があります。

  • 教育内容の理論的分類よりも、制度上の説明責任の明確化を目的とする
  • 誰が見ても理解できる形式性・網羅性が求められる
  • 評価・認定・審査の対象となる文書に記載が求められる
  • 大学をはじめ、日本語教育機関で具体例が示されている

したがって、ここでの「シラバス」は
学術用語というより、行政用語であることを理解し、区別して考える必要があります。


4.日本語教育のシラバスと文部科学省のシラバスの比較

観点日本語教育のシラバス文部科学省のシラバス
主目的教育内容の理論的整理教育課程の制度的説明
中心関心何をどう教えるか何を実施しているか
性格学術・教育理論行政・制度
対象教材設計者・教師審査者・第三者
抽象度比較的高い具体的・記述的

重要なのは、両者は同じ言葉を使っているが、指しているレベルが違う
という点です。

以下、

日本語教育機関の校長先生や教務主任の先生方向けに解説(2026年現在)


5.認定日本語教育機関の申請書類10-1・10-2におけるシラバスの意味と解釈

5-1. 様式10-1・10-2で求められているもの

認定日本語教育機関の申請書類(様式10-1・10-2)において求められているのは、

  • 日本語教育学における「文型シラバス」「機能シラバス」の理論的説明
    ではなく、
  • 当該機関がどのような教育課程・授業科目を、どの構成で実施するのか

を明確に示すことです。

5-2. 解釈の要点

ここでいう「シラバス」は、文部科学省の用語です。つまり

  • 教育課程の構造
  • 授業科目の位置づけ
  • 学習内容の概要
  • 学習成果と評価方法

を体系的に示した
教育内容の説明資料」と解釈しましょう。

5-3. 実務上の重要点

  • 日本語教育のシラバス理論は、裏付け・根拠として使うことは有効
  • しかし、申請書上ではそれを前面に出す必要はない
  • 審査者にとって「読めば実態がわかる」ことが最優先

この点を踏まえ、
理論としての「シラバス」と、制度文書としての「シラバス」を
意識的に切り分けて書くことが重要です。


再確認 シラバス